海外派遣体験談

スコットランドの民族衣装を纏ってのサマースクール修了式(右が原さん)

原 武蔵

九州大学  工学府 建設システム工学専攻 修了

修士1年時に海洋開発サマースクール(2019年スコットランド)に参加
現在はエンジニアとして活躍中

海洋開発業界で働くことの魅力は何ですか?

 私が感じた海洋開発業界で働くことの魅力は2つあります。
 1つ目は「巨大なものづくりができる」というものです。大型海洋構造物のような他の業界では作る機会が得られないサイズのものづくりを行えるというのは海洋開発業界ならではの特徴だといえます。
 2つ目は「海外で大規模なエネルギー事業に携われる」というものです。海洋開発業界では多くのエネルギー事業を行っていますが、世界をリードしているのは日本ではなく欧州諸国であるのが現状です。そのため欧州諸国から技術を学ぶためや、石油など多くのエネルギーを有している地域で業務を行うために、世界をまたにかけて活躍する機会を得ることができます。これは海外で働きたいという人には非常に魅力的だと思います。

サマースクールに参加して、印象に残っていること、学んだことを教えてください。

 世界で海洋開発を牽引するスコットランドでのサマースクールを経験することで、世界規模の海洋開発に関する知見を深めることができ、日本が海洋開発産業を発展させるためにどのようにすべきかを考える良い機会となりました。本サマースクールで、私の中で特に印象に残っているプログラムはBOSIETです。BOSIETではヘリコプターからの脱出模擬訓練をはじめとした、オフショア石油及びガス業界に不慣れな要員の初期オフショア安全トレーニング、緊急対応トレーニング、および評価要件を満たすために作成されたコースを受講しました。スコットランドを訪れたことで座学だけでなく上記のような実践的なレベルでの海洋開発の知見を得ること、また海洋開発というテーマを通じて国際性を経験できる機会を得ることができたのは非常に良い学びであったと感じています。

この業界に興味を持った学生の皆さんへのメッセージ

 経済大国・資源小国である日本において2011年の原発事故後、エネルギーの安定供給が喫緊の課題となっている中、世界で有数の排他的経済水域を保有する日本にとって石油天然ガス・海洋エネルギーといった海洋資源開発分野の発展は今後必要不可欠です。現状として海洋開発において、日本は欧州に比べて遅れをとっていますが、浮体式洋上風力発電に関しては研究・実証実験が日本でも数多く行われており、製造業における日本の高い技術力を海洋開発業界で発揮することができれば、日本の海洋開発産業は発展する可能性を秘めており、そう遠くない未来に日本が世界の海洋開発産業をリードしていくことも十分考えられます。その時に海洋開発産業を担う世代になるのは今の若い世代です。海洋開発のリードエンジニアとして裁量権・やりがいを持ちながら働くことができるのは非常に大きな魅力です。将来の海洋開発をリードしていく皆さんの挑戦をお待ちしています。